大日本印刷(DNP)の株式分割(1株→2株)により株数が増えました

株式分割をイメージするアイキャッチ画像 投資

11月中旬に大日本印刷(DNP)より株式分割に関するハガキが届きました。1株を2株にするという内容です。

株式分割のメリットや株式分割が増加している背景について紹介します。

大日本印刷(DNP)から株式分割(1株→2株)のお知らせが届いた

大日本印刷(DNP)から以下のように、2024年10月1日付で1株を2株に分割する株式分割実施の通知が届きました。

株式分割とは、株式を分割することで発行済株式数を増やすことです。

2024年8月8日付の同社発表によると、株式分割の目的は「投資単位当たりの金額を引き下げることにより、投資家の皆様にとってより投資しやすい環境を整えるとともに、投資家層の拡大と当社株式の流動性の向上を図ることを目的」と記載されています。

さっそくSBI証券口座の管理画面を見てみると、1株が2株に増えていることを確認しました。株数は増えたものの、株価はそれほど変動はありません。

株式分割前(2024年9月30日)の終値が2,552円、SBI証券の画面上で確認した11月15日の終値が2,457円なので、含み益が約2倍の2,673円となりました(株数が倍になったものの、株価の変動がそれほどないため)。

株式分割のイメージ

理論的には株を分割するだけなので会社の価値は変わりません。コップの中に入っていた水を2つのコップに分けても水の総量は変わりません。

株価も同様に、1株を2株に増やしたら株価は半分になるはずです。同社の場合、1株あたりの配当金も半分に減らして実質的にはなにも変わっていません。

しかし、会社の価値(コップに入っている水の総量)そのものは変わらなくても、流動性が高くなることで株価(コップ1個あたりの価格)が高くなることもあります。

分割そのものは会社の「価値」を上げるものではないが、株式の「価格」は市場の論理で上がる可能性があるということですね。同社の場合には株価にはそれほど大きな変動はありませんでした。

価格と価値の違いについては、「つみたて王子」の異名を持つ中野晴啓さんの著書「長期投資のワナ(中野晴啓、宝島社、第1章)」でウォーレン・バフェットの言葉として、「価格はあなたが支払うものであり、価値はあなたが受け取るもの」という定義が紹介されています。

価値=会社としての本質的な価値、価格=株価、といったところでしょうか。短期的には株価はいろんな思惑によって上下するものの、長期的には価格は価値に収斂するイメージでしょうか。

株式分割のメリット

株式分割による企業側のメリットは、大日本印刷(DNP)のプレスリリースにもあるように「投資単位当たりの金額を引き下げることにより、…(省略)…株式の流動性の向上」ですね。

一方で、投資家側のメリットは何と言っても投資単位が下がることで一気に投資の敷居が下がることです。

市場での流通量が増えることで、株式分割によって株価が上がるから買いを推奨する向きもありますが、ソラタロウはそこに便乗するつもりはありません。

結果的に第日本印刷(DNP)のようにたまたま株式分割をした銘柄を持っているケースはあり得るとは思いますが。

長期的に価格が価値に収斂する商品への投資としては、オール・カントリー(三菱UFJ-eMAXIS Slim 全世界株式)のように全世界株式に連動する商品を長期で保有するに尽きると思います。

あえて株主分割をしない場合も

経済評論家の故・山崎元さんと堀江貴文さんとのユーチューブ対談(【ホリエモン】日本株は高すぎてフツーの人には手が出せません)において、山崎元さんが一部の企業があえて株式分割をしない背景について解説されていました。

一般的には流動性が上がることで個人投資家が増えて投資家層の裾野が広がる株式分割です。投資家層の裾野が広がることは企業にとっても良いことのように思います。

しかし、一部の企業においては、以下2点の理由によりあえて株主分割を実施せずに高い株価を維持している企業もあるようです。

①株主対応の大変さ(個人投資家よりも機関投資家のほうがコミュニケーションが楽)

ソラタロウもかつて新入社員時代に働いていた上場会社で、株主総会の日は会社の中が無言の圧力のようなものに包まれていたことを今でも覚えています。

企業にとって株主対応は非常に神経を使うところです。気持ちは理解てきるものの、「何だかなぁ」という気持ちになります。

せっかくその会社の株を買って、しかも株主総会にまで足を運んでくれて、意見まで言ってくれるのだとしたら、企業にとってこんなに良いことはないはずですが。「真剣に応援している」証拠ですね。

②日経平均の指数の連動性を考慮(日経平均の中でのウエイトが下がることで売り圧力がかかってしまう)

日経平均の計算は、単純に225銘柄の単純平均値で求めます。よって、仮に株価が10,000円から1,000円に下がると、日経平均に占めるその会社のウエイトが10分の1になってしまいます。

ライブドアのように100分割する会社も

少し古い話ですが(2004年くらいでしょうか)、堀江貴文さんが率いていたライブドア社も100分割という通常では考えられない株式分割を実施しました。

ライブドア監査人の告白(田中慎一、ダイヤモンド社、第3章)」 には、流動性の向上により株価が上がる傾向があるという特性を踏まえ、同社が株式分割をどのように活用(?)したかが赤裸々に描かれています。

株式分割が増えている理由

株式投資というと昔は100万単位で資金が必要なイメージでした。

しかし、日本取引所グループの資料によると、1999年に投資単位が50万円以上の会社が90%以上だったのに対し、2024年9月末時点では投資単位50万円未満の上場会社が94.5%になっています。

対して、投資単位が50万円以上の上場会社は近年10%を下回る水準で推移しています。

【2024年9月末時点での投資単位が50万円未満の上場会社の比率・社数】
出典:日本取引所グループ「投資単位の引下げ」

東証は、投資単位として「5万円以上50万円未満」の水準への移行に向けて株式分割を実施するように上場会社に要請してきたことが株式分割が増え、かつ、投資単位の引き下げに寄与しているようです。

NISAやiDeCoの拡充や単元未満株の取得のしやすさ、投資単位の引き下げなど、投資の裾野を広げるための施策は確実に行われていることが分かります。

受け取る配当金は変わらなくても、1株増えただけでも、うれしい

大日本印刷(DNP)株の1株が2株になって含み益が千円弱から2千円弱に増えただけですが、それでも増えたことは素直にうれしいですね。

また、株式分割というとソラタロウには縁のない話だと思っていましたが、貴重な経験をさせてもらいました。

ちなみに、同社は単元未満株の株主に卓上カレンダーを送る株主優待(いわゆる”隠れ優待”)を実施しています。

なので、2株ある内の1株を子供名義にしようと考えましたが、名義変更の手続きには2千円くらいの手数料が必要だということが分かり、断念しました。

大日本印刷(DNP)の株主優待「卓上カレンダー」については、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】
大日本印刷(DNP)の単元未満株で卓上カレンダーの株主優待案内

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