私は2018年から主にインデックス型投資信託の積み立てを定期・定額で行っています。
しかし、企業型確定拠出年金(企業型DC)においては相場が大きく崩れた際に日経平均や先進国株式に連動する投資信託を購入し、相場が元に戻ったタイミングで売却しています。
なぜそのような運用をしているのか、企業型DCのメリットは何か、実際の運用結果など、これまでの私の企業型DCの運用について紹介したいと思います。
2008年に企業型確定拠出年金(企業型DC)が勤務先で導入された
2008年くらいですが、勤務先の会社が企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)を導入しました。当時はテレビで「日本版401K」という言葉とともに制度の内容が紹介されていました。
今でこそ企業型DCは節税しながら老後資金を用意できる制度という認識が社会全体にあります。
しかし、当時は今とは違い「企業型確定拠出年金は会社が個人に運用の責任を押し付ける制度だ!」「会社は無責任じゃないか!」なんて論調がテレビでもあったことを記憶しています。
個人的には「そう悪くない制度」という印象はありましたが、その理由は次の2点でした。
理由①:「確定給付年金での退職一時金制度では、将来の受取額が必ずしも確定している訳ではない」
まだ20代の頃、退職金の計算をしている先輩社員に退職金がいくらくらいになるのかを雑談交じりに聞いたことがありましたが、計算方法すら教えてはもらえませんでした。「お金の話をするのははしたない」という意識があるのでしょうか。
退職金規定はあるものの、計算が複雑で(ここは会社によると思います。古い会社ほど複雑な規定になっているのかもしれません)、自分では計算できませんでした。退職金の計算方法すらも教えてもらえないなんて、「なんと理不尽な」と感じました。
日本の会社の場合、例えば10年くらいで自己都合退職すると受け取れる退職金は「雀の涙」と言われる金額になります。
確定給付年金制度での退職一時金は、新卒で入社して20年以上働いて、自己都合以外で退職してやっと、やっと、それなりの金額になるイメージです。
「確定」給付と言いつつ、実際には自己都合退職では半額になるなどのペナルティがあるので、退職直前まで受取額は「確定」しません。企業型DCは積み立てた金額がそのまま受取額となるので、そこの部分は明確です。
理由②「確定給付企業年金の退職一時金が実質的に社員を会社に縛り付ける要因の一つになっている」
企業型DCは別の会社に持っていけるので、転職時の負担が少なくなるのは良いことだと思います(転職を奨励しているわけではなく、意に沿わない形での就業は会社・個人の双方にとって良い結果はもたらさないと思うだけです)。
上記の理由から、運用方法については無知であったものの、制度そのものに対しては当初から比較的好印象を持っていました。
私は過去に転職を経験していますが、年金資産の持ち運びができなければ、転職について二の足を踏んでいたと思います。将来の安心感を持って転職できることは大きなメリットでした。
株式相場が大幅に落ち込んだタイミングで日経平均に連動する投資信託を購入した
企業型DCに加入当初は運用商品として何を選択していいのかが分からず「定期預金」を選択し、その後、1か月後には債券50%、株式50%に変更しました。その時の気分で商品を変えたり、放置したり。結局、当時は何を選んでいいのか分らなかったんです…。
しかし、日本の株式市場が大きく落ち込んだことがあり、純粋に「日本の会社を応援したい」という動機から資金の全額を日経平均に連動する商品に切り替えたことがありました。
その後、株式市場が落ち着きを取り戻した後、たまたま運営管理機関のHPで時価を確認し、「こんなに評価益が出ている」とびっくりしました。
それ以来、私は企業型DCにおいては相場が崩れた時に運用商品を購入し、元に戻った時に売却するようになりました。
企業型DCでは「安く買って高く売る」を繰り返している
私は2018年から基本的にはインデックス型の投資信託を定期・定額で積み立てています。
しかし、既に書いたように企業型DCでは「安く買って高く売る」を繰り返しています。通常は定期預金等に配分し、大きく日経平均等が値を下げたタイミングで買い、元に戻ったタイミングでの売却を繰り返しています。
主な購入商品は以下の2つです。
・たわらノーロード 日経225 (税込み信託報酬:年率0.143%、※)
・たわらノーロード先進国株式(税込み信託報酬:0.09889%、※)
※2024年10月20日現在の信託報酬です
最近は「今」と思ったときに資金を3~4分割して、数か月掛けて購入することが多いです。一気に資金を投入しないのは、価格が想定以上に下落する可能性があるからです。
逆に売却時は価格が想定以上に上昇する可能性を考慮して数回に分けて売却します。
「落ちてくるナイフはつかむな」という投資の格言があります。その言葉には続きがあるようで、「ナイフが地面に突きささり、しばらく揺れた後、しっかりつかむのが正しいやり方」(※)だそうです。
※「ピーターリンチの株で勝つ」(ダイヤモンド社、ピーター・リンチ/ジョン・ロスチャイルド著)
私の場合には、落ちるまでに何回かに分けて資金を投入するようにしています。
大きく株価が変動したタイミングでの投資なので、毎日株価をチェックすることはありません。主に日経平均を選んでいる(全て日経平均ではありませんが)のは、以下の理由です。
・テレビやネットニュース等で日経平均株価の情報は入りやすい(何もしなくても情報が入ってくる)
・海外の銘柄と比べて国内の投資信託は約定までの期間が短い(約定までの期間が長いと想定外の価格変動に巻き込まれるリスクがある)
株価が戻って売却する際には、少しだけ(1万円分くらい)残して売却するようにしています。少しだけ残す理由は、値下がりするとマネーフォワード等のアプリで「評価損」という形で金額が表示されるので、株価が下がった時の目安になるからです。30%くらい下がったら買いの準備を始めます。
ここまでを読むと頻繁に売買を繰り返しているように思われるかしれませんが、大きく値を下げることはそれほど多くないため、数年に1回くらいの頻度で大きく買って、売却するようにしています。「●●ショック」とか言われる時やそれに類する時です。長い時は3年くらい定期預金で保有することもあります。
運用管理機関のHPで残高を確認することも年に数回あるかどうかで、1年間で一度も見ないこともあります(マネーフォワードアプリで企業型DCを含む資産の全体残高を確認することはありますが)。
私が「安く買って高く売る」を繰り返している理由は、企業型DCには以下3つのメリットがあるからです。
企業型DCの運用上のメリット
①売買手数料がかからない
注:スイッチングには手数料がかかりませんが、投資信託によっては「売却時手数料」が設定されていることがあります。
②企業型DCの資金内であれば、NISAのように年間投資上限額のような取引制限がない
③売却益に課税されない
個人には運用会社にはない「数年でも放っておける」という強みがある
チャンスがなければ「数年でも放っておける」のは他人の資金を預かっている運用会社のファンドマネージャーにはできないことです。
運用会社のファンドマネージャーは、仮に「何もしない(=今は投資しない)」ことが合理的だと思う時であっても、資金を預かって結果を顧客・上司に報告する必要があることから、「何もしない」という選択肢がそもそもありません。
一方、個人は自分の裁量で何年でも資金を寝かせることができます。段階的に資金を投入することも、一気に投入することも自分の一存で決定できます。運用会社と違い、顧客や上司への報告も不要です。個人には運用会社のような制約ほまったくありません。
企業型DCの運用について、今まで読んだ本で参考になった本を3冊紹介します。
書名 | 内容 |
「ピーター・リンチの株で勝つ」 (ダイヤモンド社、ピーター・リンチ/ジョン・ロスチャイルド著) | アマチュア投資家がプロのファンドマネージャーに対して持っている優位性や株式投資の心構え(余裕資金の範囲内で行うことなど)について詳しく書かれています。 |
「ジム・クレイマーの株式投資大作戦」 (日本経済新聞社、ジム・クレイマー著) | 単に株の売り買いの技術面ではなく、週に1度のホームワークの重要性が書かれています。また、「株価の大底」や「天井で売り抜ける」など、非常に参考になる本でした。 |
「会社員をしつつ、株で元手40万から月250万ちょい稼いでいる件」 (ぱる出版、まつのすけ著) | 主に日本の株式市場の中で「イベント投資」について詳しく解説されています。投資について新しい視点を与えてくれる本だと思います。 |
少額でもいいので株式市場に参加し続けることが重要
タイミングを活かして売買をするのであれば、少額でもいいので運用商品を保有して株式市場に参加し続け、株価についての感覚を忘れずに持っておくことが必要です。
常に株式市場にエントリーしておくことで、「いざ」という時にはすぐに飛び込めるようになります。決して「撤退はしない」ということですね。
企業型DCでの私の運用方法を紹介しましたが、2024年11月時点での運用益は累計約300万円となります。
多いか少ないかは人によりますが、参考にしていただければと思います(決して私のやり方をおすすめしている訳ではありません)。また、このようなやり方は、余剰資金の範囲内で行うことをお勧めします。
【関連記事】
定期・定額の積み立て投資については、以下の記事を参考にしてください。
つみたてNISA(旧NISA)でインデックス投資を始めたきっかけ
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