今年いっぱいで現在の職場を退職して2025年から新しい職場で働くことになりました。
50代の転職って皆さんどんな印象を受けますか?
転職の際にどのようなことを考えたのか、率直に今の思いを書いてみたいと思います。
50代の転職は無謀だと思いますか? 50代の転職について思うこと
50代以降の転職は非常にネガティブに捉えられる傾向にあると肌感覚で感じます。ふと知り合った人に転職の話をするときの反応が30代の時と明らかに違います(思い過ごしかもしれませんが)。
ソラタロウも昔は「石の上にも3年」という言葉を信じていました。理由は小さい頃、父親から「その時の感情で会社を辞めなければ良かった」と何度も聞かされたことが影響したのかもしれません。
今になって思うと、確かに「石の上にも3年」は正しい一面があるが、そればかりに固執することはデメリットのほうが大きいです。
忍耐は確かに大切ですが、理不尽なことに必要以上に我慢する必要はありません。
環境を変えるかどうかの判断は何年頑張ったかという「期間」の問題よりも、本人がどれだけやり切ったと感じているかによると思うからです。これ以上は頑張れないというところまでやってみて限界を感じるのであれば場所を変えてみるのもアリだと思います。
私の転職の基準は、自分の力ではどうすることもできない要素があって、どうしても受け入れられないときが基準です。前提としては、「これ以上できることはない」と思えるくらいに「頑張った」かどうかだと思います。
以前読んだ「世界一やさしい「才能」の見つけ方(八木仁平、KADOKAWA)」という本の中で著者の八木仁平さんの「環境を変える基準はやり切ったかどうか」という表現がありました。
これには激しく同意します。この本はいわゆる転職本ではありませんが、キャリアを考える上で示唆に富む視点がたくさんありました。
親指を描きたいなら、親指を描こうとしてはいけない
「非常識な成功法則(神田昌典、フォレスト出版)」という本に以下の言葉が紹介されていました。
「親指を描きたいなら、親指を描こうとしてはいけません。親指を描くなら、親指の周りの空間を描きなさい」
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校の美術学部の教授をされていたベティ・エドワーズという人の言葉のようです。
この言葉を転職に当てはめると、「こんな職場がいいというアプローチではなく、こんな職場だけは嫌だという条件をまずは明確にしなさい」という表現になります。
まずは「絶対に嫌だという条件」を明確にしたうえで、その後で「こんな職場がいい」という順番で物事を考える。逆の順番で考えると、「こんな職場がいい」の中には「嫌だ」と感じる要素が混じっている可能性がある、ということでしょうか。
絶対に嫌な要素を最初に排除して、残ったものの中からいいものを選択するということですね。
投資においても、「やったほうがいいこと」よりも「絶対にやってはいけないこと(例:パニック売りをしてはいけない、など)」に注意を払ったほうがいい結果につながるように思います。
転職なしで給料を上げることは難しい
日本の会社では転職でもしなければ、なかなか給料が上がらない
日本の会社の場合、(ソラタロウの限られた実体験の中での話ですが)多少パフォーマンスが良くても処遇に反映されないことが多いような気がします。
経営者(給料を払う側)の立場に立つと、「会社を絶対に辞めません」「手を抜かずに仕事します」と言っている人の給料を上げる理由(動機)がないからです。
「辞めます」と言ったら慰留はするし、給料の交渉にも会社は応じるでしょうが、それはあくまでも賃金テーブルの範囲の中で無理のない範囲で行うでしょう。
また、できれば、他の人にはそのような交渉の事実は知られないようにするでしょう(「私も私も」となってはいけないので)。
リスキリング(学び直し)が推奨されるようになったのはなぜなのか
しきりに「リスキリング(学び直し)」が推奨されるようになったのは、結局のところ、給料を上げるには転職が手っ取り早いということに国も気づいたからなのかと思います。
スキルを上げる⇒雇用の流動性が高くなる⇒賃金が上がる、という具合なんでしょうか。
ソラタロウのケースで言うと、転職のたびに少しづつ給料は上がっていきました。今回の転職で上がる金額も大した金額ではないですが、それでも、現職でこれだけの金額を上げようとすると相当ハードな交渉が必要になります。
だから、給料を上げる一番手っ取り早い方法は転職となります。
転職活動自体にはリスクはないが、多くの労力が必要となるのは事実
転職にはリスクが伴いますが、転職「活動」にはリスクはありません。
リスクはないが非常に多くの労力は必要です。
・転職エージェントに登録して、エージェントの担当者と面談を設定する。
・過去の経歴をエージェントの担当者に説明し、希望の会社・職種・働き方を伝える。
・写真を用意し、履歴書・職務経歴書を作り、退職理由を整理する。
・求人を自分目線で検討し、業界・職種・ポジション・待遇などを考慮して応募の可否を検討する。
・志望動機を考え、面接のために有休を申請したり…。
多くのタスクをこなして転職したとしても、転職先ではさらに慣れない環境で仕事をすることになります。
入社前の煩雑な税金・社会保険関係の書類提出、通勤ルートの申請(これが意外といろいろと考える)、入社後は新しい人間関係、異なる企業文化、使用経験のない業務システム、半年くらいの間は慣れないことの連続で疲れることも多いです。
でも、投資の格言にあるように「フリーランチはない」のです。
それでも、転職して良かったこと
私が転職を経験して素直に良かったと思うのは、大きく3つあります。
「視野が広くなった」、「年収が上がった」、「1社に依存しない働き方ができるようになった」という3点です。
投資風に表現すると、「投資手法が広がった」、「株価が上がった」、「分散投資ができるようになった」というところでしょうか。
視野が広くなった
初めての転職は30代半ばで、それまで新卒から働いていた会社から新しい環境に飛び込み、会社によってこんなにも考え方が違うのかとカルチャーショックを受けました。
会社も人の集まりなので、考え方が違うのは当然ですね。
大変だったけど、今までとは違う考え方・感じ方を仕事を通して学べたことは貴重な経験でした。
昔と違って企業型確定拠出年金が普及したこともあり、転職のハードルは確実に下がっています。仮に退職金を減額させると言われたら、絶対に転職は躊躇しますし、少しくらいのことはガマンしますが。
年収が上がった
私は数回の転職を経験していますが、転職のたびに年収が上がりました。
正確に言うと、年収が上がる会社に出会うまで、平均3年間くらの期間を使いました。
転職エージェントの担当者から、「ソラタロウさん、どんな会社だったOKなんですか?」なんて聞かれたことも一度ではありません。
条件に納得できなければ、2年でも3年でも転職活動をやってみればいいです。
何のリスクもありませんから。
1社に依存しない働き方ができるようになった
転職を通して、「他の場所でもやっていける」という確かな自信のようなものは付きました。
投資で言うところの分散投資ですね。
新卒で入社した会社は知名度もあり歴史のある会社でしたが、給与がそれほど多い会社ではありませんでした。
では、なぜその会社に入社したかというと、この会社での経験はきっと他の会社でも役立つと思えたからでした。
何があるか分からない時代、いつでも外に飛び出せるようにしておきたいと思っての判断でした。
歴史があるということは、それだけ長く会社が続いてきたという証拠です。そのノウハウを体で勉強することで、他でも通用する力が身に付くのではないか、この会社に在籍したこと自体が転職活動の際にプラスになるのではないか、と思いました。
そのせいか、転職活動のたびに、「〇〇社で働いていたんですね」と好印象を持ってもらうことができました。
ソラタロウの場合には、給与を低くしてでも、長期的な安定の土台となる経験が欲しかった、というのが正直な気持ちです。1社に依存しない働い方こそが、長期的な安定の土台になると大学4年生の就職活動の時に考えました。
転職には確かにリスクがありますが、転職「活動」には何のリスクもありません。
現状の環境に閉塞感を感じるなら、まずは転職活動を始めて、転職「活動」の結果と現状を比較してどうすればいいかを決めればいいと思います。
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