iDeCo(個人型確定拠出年金)は専業主婦にもメリットがあるのか

iDeCoのアイキャッチ画像 投資

専業主婦にもiDeCo(個人型確定拠出年金)にはメリットがあるのかを考えてみた

妻は私の勧めでNISA同様に2019年からiDeCoも始めたわけですが、そこに至るまでの経緯を書いてみました。
2019年当時、妻は「つみたてNISA(旧NISA)」を満額の40万円/年かけていました。

追加で投資をするのであれば、余裕資金を税優遇のあるiDeCoの枠で活用することを検討しました。

まず、iDeCoの一般的なメリット、その中から専業主婦にも適用されるメリットから妻にiDeCoを勧めるべきかを考えてみました。

一部の税制優遇が専業主婦(当時の妻)では受けることができなかった

iDeCoのメリットをざっと書いてみると、拠出時・運用中・受取時に以下の税制優遇があります。

運用中と受取時は税制優遇のメリットがありますが、専業主婦には拠出時はメリットがありません。一時金受取時のメリットである退職所得控除は早くスタートして加入期間を増やすことで適用されます。

タイミング税制優遇の内容
(2024年10月6日現在)
専業主婦のメリット
拠出時積立額が拠出時に所得控除の対象(専業主婦の掛金上限:23,000円/月)×(所得がないので積立額は所得控除の対象外)
運用中運用益は非課税
受取時【一時金受取(一括受取)の場合】
退職所得控除
【年金受取(分割受取)の場合】
公的年金等控除
△(元本保証の商品を選んだ場合には、運用益がほとんど発生しないので受取時のメリットはない。控除のメリットを活かすためには元本保証ではない商品の選択が必要)

NISAと違って途中解約できず、費用も発生する

iDeCoがNISAと違って使い勝手が悪いのは、「途中解約不可」と「費用負担」が発生する点です。
(2024年10月6日現在)

途中解約が不可原則、年金を受給できる60歳になるまでは途中解約ができない
費用の負担
(運用時の手数料)
・掛金を拠出している場合、171円/月の手数料が必ず発生する
(国民年金基金連合会へ「105円/月(注1)」+信託銀行へ「66円/月(注2)
・上記の171円/月(105円+66円)が差し引かれた後の金額で運用商品が購入される
・口座開設した金融機関に支払う手数料は金融機関によって金額が異なる(注3)

注1(国民年金基金連合会への手数料)
掛金を拠出せずに運用だけを行っている場合は発生しない。
また、収納回数に応じて手数料が変わる(年に2回の拠出の場合、105円×2回=210円/年)

注2(信託銀行への手数料)
掛金拠出の有無にかかわらず66円/月が発生する。
口座残高不足で掛金の引き落としができない場合、手数料相当分の保有商品を売却して徴収される。

注3(口座を開設した金融機関への手数料「運営管理機関手数料」)
例1)三菱UFJ銀行、標準コース(加入者):385円/月、ライトコース(加入者):260円/月
例2)SBI証券・楽天証券:0円
ネット系の金融機関(SBI証券や楽天証券等)であればゼロであるケースが多い

上記の表には継続的に発生する運用時の手数料を記載しました。
それ以外には以下の加入時・移管時の手数料が発生します。

【加入時(初回手数料)・移管時の手数料】
支払先:国民年金基金連合会、手数料:2,829円

節税額のシミュレーション(「専業主婦:年収0万円」と「パート勤務:年収120万円)」)

マネックス証券のホームページでiDeCoのシミュレーションができます。

iDeCoシミュレーション

年齢を45歳と仮定し、20年間加入した場合の拠出時の節税効果を簡易的にシミュレーションしてみました(あくまでも簡易的なシミュレーションなので、実際の節税額とは異なる可能性があります)。

「専業主婦(年収0万円)と「会社員(年収120万円)」の2パターンでのシミュレーションです。

専業主婦(年収0万円)の場合、当然のことながら節税額は0円となります(所得が0で納税額も0なので)。
妻がiDeCoに加入した当時はこの状態でした。

専業主婦が20年間掛金を拠出した場合の節税額のシミュレーション画像

一方、会社員(年収120万円)の場合、年間で9,000円の節税効果となります。
今の妻がこの状態です。

年収120万円の会社員が20年間掛金を拠出した場合の節税額のシミュレーション画像

それでも妻にiDeCoを勧めた理由

「一部の税制優遇が専業主婦(当時の妻)では受けることができない」ことや「NISAと違って途中解約できず、費用も発生する」ことはデメリットでもあります。

それでも私が妻にiDeCoを勧めたのは、大きく次の3つの理由からでした。

【理由①:老後資金は必ず必要なので、資金拘束の長さを極度に不安視する必要はない】

多くの人が指摘しているように、60歳になるまで引き出しはできず、解約も一定条件でのみしか認められていません。

しかし、老後は誰にでも平等にやってくるし、老後資金が必要であるという点は変わりません。ですので、少額でもいいのでiDeCoで用意するという選択には一定の合理性があると思います。

少額であればNISAで用意してもiDeCoで用意してもさほど違いはありません。支払いが難しければ口座残高を掛金額未満にすればいいだけであると思い至りました。引き落としができなかった場合には66円/月の手数料が徴収されますが…。

支払いが厳しくなった時のことを考慮し、引き落とし口座はできるだけ普段使わない口座にしました(一旦引き落とされると60歳になるまで取り返すことができないので)。

【理由②:手数料も発生した上に所得控除の恩恵も受けられないが、それでもメリットがある】

掛金拠出に対する所得控除の恩恵がなくても、運用中は非課税、受取時には加入期間の長さに応じた退職所得控除の優遇(一時金受取を選択した場合)がある。

退職所得控除は、iDeCoの加入期間によって計算されるため、早く始めることで有利になります。

また、将来的にはパート等で働く可能性もあるため、その時に備えてiDeCoを始めておくのもありだとだと思いました。

掛け金を拠出するたびに発生する経費をどのように考えるかですが、つみたてNISAでの経験から、手数料を超える収益が見込めると考えました。2024年10月6日現在の運用益は約41万円です(2019年のスタートから1年弱は満額の23,000円/月、それ以降は5,000円/月の拠出)。

運用益を考えると、徴収されている手数料は許容範囲です。

【理由③:妻が家族に気兼ねなく使えるお金を確保しておきたかった】

理由③が妻にiDeCoを勧めた最大の理由でした。資金効率という点では収入のある私の口座で確定拠出のマッチング拠出、NISA枠を最大限に活用することがいいことは明らかです。

しかし、妻名義の口座で運用することにより、将来、妻が家族に気兼ねなくお金を使えるのではないかと想像しました(世の中効率だけで割り切れるものではないですね)。

最後に、自己破産した時のことを少し考えました(人生何があるかわかりませんから)。自己破産した場合には、iDeCoは税金の滞納がなければ差し押さえの対象にはなりません。これって地味にiDeCoのメリットです。

この記事のテーマからは外れますが、差し押さえの対象にはならないという点において、経営者にとっても有効な資産形成手段だと思います。仮にぎりぎりまで追い込まれたとしても、最後の砦があるのは安心感があります。

金融機関はSBI証券に決めた

銘柄数の比較

金融機関で扱う運用商品がNISAのように柔軟に入れ替えができないため、慎重に検討しました。金融庁のNISAと厚生労働省のiDeCoでは運用商品の上限数に関する考え方が違うのですね。

iDeCoはNISAと違って運用商品の上限が35と決まっているため、新しい投資信託が出ても銘柄の入れ替えがないと考えたほうがいいです。

比較として、ネット証券の代表格である楽天証券とSBI証券を比較しました。

楽天証券の商品数は36銘柄、SBI証券は38銘柄がラインナップされています。それぞれ、ターゲット・イヤー型の商品が楽天証券:3銘柄、SBI証券:4銘柄入っています。

ターゲット・イヤー型の商品を実質的に1つとカウントして、楽天証券:計34銘柄、SBI証券:計35銘柄となるのでしょうか。銘柄数はどちらの会社もそれほど変わりません。

決め手になった要素

シンプルに、購入したい商品がそろっているかどうかをポイントとしました。SBI証券ではeMAXIS Slimシリーズが入っているので、検討の末にSBI証券を選択しました。

「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続けるファンド」というコンセプトを掲げているeMAXIS Slimシリーズが入っている点がSBI証券のグッドポイントでした。

ただし、「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」は入っているものの、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が入っていない点が非常に残念です。

iDeCoを始めるかどうかを決めるときは、資金効率以外の目的を考慮に入れてもいいと思う

資金効率を最大限に活かすのであれば、私名義で確定拠出年金をマッチング拠出すること、私名義のNISA枠を最大限に活用することなどがあります。

NISAは誰がやってもメリット同じですが、iDeCoは人によって(状況によって)メリット・デメリットが変わるので、そこが難しいところです。

所得控除も人によって金額が変わり、受取時の課税も状況によって異なります。その分、使い方によってはNISAよりもメリットがあります。

将来の状況は誰にも分らないが、老後資金が必要という事実は変わらないので、老後資金の一定程度はiDeCoで用意するのもありだと思います。

しかし、「将来いかに家族が心地よくお金を使うことができるか」という視点も私には重要でした。
資金効率だけを重視するのか、それ以外も重視するのかは人それぞれです。

iDeCoを始めるかどうかは、職業(専業主婦なのか会社員なのか経営者なのか)や資金効率という側面だけではなく、「何を重視したいのか」という側面から考えてみるのもありだと思います。

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